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ビジネスサポート

2016/1/30

熊本税理士サポート  ◆医療機関経営☆病院経営の費用を削減するには、もっとも支出額が大きい「人件費」対策が効果が高いとは? ★税理士変更 税理士をお探しの皆様へ 2月6日土曜日は★税務のセカンドオピニオンサービスも実施していますので、是非熊本の病医院、歯科医院、老人福祉事業所のご相談は、宮崎税務会計事務所(熊本 税理士)の無料相談で、経営力の強化を図って下さい!!

1.はじめに

●全ての企業には、収入があり、費用があります。業界、業態によって様々だと思いますが、一般病院では、医業収益に対し給与費が60%以上※を占めると経営が危ないと判断します。

※急性期病院は53%前後、
療養病床を中心とした慢性期病院は60%前後、
精神科病院は61%前後が一般的な指標

●同じように医薬品費は20%前後(院外処方している場合はもっと低いです)、給食など外部委託費が6%前後、設備関係費などは17%前後が平均的な数値で判断基準、目標指標となる数値です。
お気づきだと思いますが、これらの数値の合計は103%となり、このままでは赤字です。

●したがって、利益を出すためにあらゆる努力、工夫をする訳です。
費用を削減するには、もっとも支出額が大きい「人件費」対策が効果が高く、ポイントになることは明白ですが、これが非常に取り扱いの難しい問題です。事実、病院の経費削減では、効果が低い委託費対策(外注いじめ)から始まることが多く、人件費対策は最後の最後に手を付けることが多いです。

●医療機関は「労働集約型サービス」と言われ、病院で働いている人たちは、国家資格取得者であることが多く、当然専門性の高い仕事をしています。欠員が出たら、代わりの人がすぐに見つからず、ライセンス取得者は組織への帰属意識が高くなく、離職率も高い職種もあります。安易なリストラ政策や給料の引き下げなどを実施しモチベーションが低下し、定着率も低下しその結果、効率性が低くなり、医療サービスの質の低下に繋がることにもなり兼ねません。
医療安全にも影響を及ぼすことにもなりますので、病院経営者の本音を言えば、「できれば手をつけたくない」ということになります。

●その人件費対策を考察します。
まず、人員基準を確認します。病院など医療機関には最低人数が法律で決められている職種があります。代表的な職種が医師です。

病院では入院患者16人に対し、常勤医師1名以上が義務付けられています。外来の場合は外来患者40人に対し1名の医師が同じく義務付けられています。この他看護師や理学療法士、作業療法士などの職種にも法的な基準が設けられています。
参考までに、医師1人当たりの年間収入は1億5千万円から2億円です。
そして民間医療法人勤務医の平均月給与が133万円前後※です。
※平成25年度 医療経済実態調査 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/19_houkoku.html
参考)
開業医院長:286万円/月
公立病院勤務医:126万円/月

●しかも前述の人員基準ぎりぎりで運営している医療機関であれば、医師1名が退職したことにより、病棟ナース4名と外来ナース1名が計算上、余剰人員となります。医師が退職したことによる収入減と余剰人員分を含めての人件費削減額を比べれば、医師は退職させてはならない職種であることは明らかです。

2.人件費削減
人件費対策は、2つしかありません。「人を減らす」か「支払いを安くする」かです。

◇人を減らす
前述したように減らしたことによる給与費減額分と収入の減額分を計算する必要があります。また、他職員への影響(心理的なものも含め)も考えておく必要があります。さらに当然ですが業務への影響も考えておく必要もあります。

◆人員削減を考えるケース

・雇い過ぎている場合。(全国公私病院連盟による調査結果と自院の人員数を比較確認する)
http://www005.upp.so-net.ne.jp/byo-ren/

・院内の組織を縮小することに伴い、余剰人員が発生する
・外部に委託する(給食、清掃、検査など)
※転籍なども考慮に入れる
※転籍は、人件費は削減したが、委託費が増えることもあるので注意

◇支払いを安くする
どんな職種が高いのか?どんな場合が高いのか?いくら以上が高いのかなどを事前調査しておく必要があります。(この平均値も全国公私病院連盟の調査資料に掲載されています)
※具体的な手法は、次回提示します

◆考えられるケース
・年功序列給の割合が高く、基本給が高い人がいる
・手当の種類が多い、手当額が高い
・賞与が高い(評価基準があいまい)

3.具体的な進め方
◇タイムスタディ作成
@一週間程度/月 期間を決め、記録を取ります。この調査を6か月続けます
Aタイムスタディを取る目的は、「給与査定や評価ではない」ということを事前に周知しておきます
B成果は、「受診人数」や「回数」など数値や量で測定できる単位を選択します
Cタイムスタディの時間単位は、できれば5分単位、少なくとも10分単位とします
D調査は、病院に来てから退出するまでとします
E秘匿、守秘義務が守られる場合は、調査結果を提出してもらいますが、必ずしも結果を提出しなくても結構です
※タイムスタディ実施の目的は、「気づき」です。自分で何に時間が多く取られているかなどを自覚してもらうことです。
※アンケート調査やヒアリングを実施しますので、その中で我々は把握、理解します
Fタイムスタディ調査期間と成果の間の関係を考えてもらいます
G「成果」を向上、増やすためにはどんな方法があるのか考えてもらいます(場合によってはレポート提出)

例)残業代や加算が多いケース
・時間外の作業の中で、時間内にできる作業は無いのか
・トータルの勤務時間を短縮するためにどんな方法があるのか
タイムスタディ調査は、意外に大変な作業です。電子カルテや院内ITインフラ等が活用できれば比較的容易に実施できることもあります。
調査測定前と6か月後の調査票を比較し、時間の使い方が変わっていれば大成功です。

◇上級職のマネジメント
所属長などの役職者は自部署のマネジメントを実施してもらいます。マネジメントは3つの柱で成り立っています。

@自部署業務管理
・自部署の業務の設定
※長い時間が経て、自部署の業務ではないと思われる業務を長年請け負っているケースが散見されます。一度自部署の業務内容を整理しましょう
・条件とツールによる標準化

※ベテラン職員しかできない業務などを作らないように、難易度の高い業務を新人でも可能にするための条件とツール(道具)を考えるということです
・評価制度の見直し

※統一した評価基準の下で評価する(される)仕組みを作るということです。自部署内はもちろんですが、他部署も含めて病院全体で評価基準を統一したほうが良いです。
A作業の標準化
・タイムスタディの調査結果を用いて、ある作業の標準的作業時間を設定します
・設定した標準的作業時間内に作業を終わらすことができない原因をベンチマークして改善します
※手順や動作、事前準備などの工夫で改善されることが多いです

B職場環境
・職場長として、職場の作業環境などに原因がある場合は改善しなければなりません。

また、人件費対策は人件費削減よりも人件費率を下げることの方がより重要です。

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